

山形三たてそばを食う会
第313回 山形市「手打蕎麦・地鶏料理 花火」 の巻
ミスマッチの心配も何のその
そばも焼き鳥も本格派でした
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
うわさには聞いていたが、入ったことがない店。よくある話である。今回の会場、「花火」(山形市成沢)は手打ち蕎麦と地鶏料理が2枚看板。もっとくだいて言うとユニークにも「焼き鳥を出すそばや」として知られている。
わが三たてそば会の参加者は大きく山形衆と仙台衆に大別される。このところなぜか山形衆の劣勢が続いている。多くは8:2で仙台衆が多い。ひょっとすると9:1と山形衆が小さくなっている例会もある。
今回の参加者は30人。久々に山形衆の参加が多い。相澤先達によると、それでもまだ6:4で仙台衆の方が勝っているとはいうが…。どうして今回は山形衆が多いのか。
筆者なりに理由を推測してみた。山形からの参加者に聞いたわけではなく、全くの独断である。手打ちそばに焼き鳥、というミスマッチの店? とは聞いていたが実際どんな雰囲気の店か分からない。いい機会だから参加してみよう。そんな心理が働いたのであるまいか。
閑話休題、通された部屋はイス席。そばにも焼き鳥にもにつかわしくない、しゃれたセット。テーブルに並ぶのは山形だしが掛かった寄せ豆腐とオカヒジキの小鉢。ここまではそば会の肴らしいいが、野菜サラダが添えられている。またまたミスマッチ。
そば前が四つのテーブルごとに1本立つ。相澤先達自身の発声で「乾杯」。好きな杯を選んで、と店から言われたせいでもあるまいが、お酒の減るピッチが早い。テーブル間でお酒の「トレード」が行われる。
じらすでなし、急ぐでなし、絶妙のタイミングで待望の焼き鳥が登場する。1人当たり若鳥、砂肝、ネギ各1本である。火の通り具合といい、ボリューム感といい、食べ応えのある1本である。相澤先達は案内状で「安い会費で焼き鳥まで出してもらえるかどうか」と心配していたが、やっと安堵の表情。参加者の顔にもそば会との違和感はなく、見えるのは満足感だけ。
料理の締めくくりは孟宗椀。味噌味の新タケノコ汁に菜花の緑が浮く。目と舌で感じる春。板そばは皿で出る。大蔵村産の在来品種「最上早生」を石臼で挽いた粉だという。やや黒ずんだ細打ち。焼き鳥に負けずこちらも正統派。
なぜかこの日は会がテンポよく進み、終了予定の30分前に酒もそば湯も終わった。久しぶり参加の人も多く、相澤先達の指名で何人かが自己紹介。そば店の中で「仙山交流」が続いた。
先達からは5月例会の予告があったが、それは言わぬが花というものだろう。
そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。