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山形そばを食う会

第301回 山形市「きふね」の巻

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山形三たてそばを食う会
第301回 山形市「きふね」の巻

例会五〇〇回超えを目差し新たな出航
三〇一回も記念例会に続き祝賀ムード
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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 第三〇一回例会。わが「山形三たてそばを食う会」の新たな出航である。
 先月は、盛大に三〇〇回記念例会を開いた。「たしかに三〇〇回例会はめでたいかもしれないが、三〇一回例会だって負けず劣らずめでたい」。ある参加者の言葉が、会員の気持ちを代弁していたかもしれない。37人と、前回に迫る参加申し込みがあった。

 慌てたのは相澤先達である。今回「さくらきり」を目当てに会場に選んだ「きふね」(山形市天神町)は、大広間でも30人座るのがやっと。「10人は別室で」。先達は覚悟を決めた。さいわい、荒天その他の理由で33人に減り、何とか一堂に会せたが。

 めでたい出航を祝い、まずお酒2本(1本1.8㍑)の差し入れ。前回海外旅行で参加できなかった村岡ご夫妻(仙台市)の発声で「乾杯」。お通しは行者ニンニク、ウドみそ、菜花のセット。リーフレタスのそばクレープ巻き、タケノコと豚肉炊き合わせ、天ぷら盛り合わせ(コゴミ、フキの茎、明日葉)など、そば前の肴が次々出る。グループごとにキャベツの漬物も。
おいしい肴といつもよりたっぷりのお酒で、座が盛り上がる。「お酒は2本まで」という、先達のいつものブレーキが今回は掛からない。ここで相澤先達が立つ。「三〇一回は、新たな出発だ。目標は五二九回。これは、三たてそば会の精神的源流である『満盛庵・山形そばを食う会』の記録と肩を並べることを意味する。目標達成に向かって、私は102歳まで元気で生きることを宣言する。皆さんも同じ。あと20年元気でいて」。

 ここでお目当ての「さくらきり」の登場だ。せいろと2色盛りである。師匠(竹ふく主人)譲りのほそ打ち。さくらきりはごく薄いピンクで、桜大福と同じ香りがほんのりする。

 いつになくたっぷりのお酒で、肴が切れる。仙台から参加したSさんが「追加で天ぷらを」と店に頼む。太っ腹の「おごり」である。舞茸、ゲソなどの盛り合わせが出て、残りの酒を消化する。

最後に、店主伊藤隆二さん(45)ご夫妻があいさつ。そば会らしからぬ酔いを体験した、新たな船出の一日だった。いつしか雷雨も上がっていた。


 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2014年10月号 | 情報更新日:2016/04/26

第300回 天童市「水車生そば」 の巻

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山形三たてそばを食う会
第300回 天童市「水車生そば」 の巻

三〇〇回記念にふさわしい中身の濃い例会
鷹匠松原さんの記念講演にドギモを抜かれる
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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 長野などほかのそばどころに、同じような文化があるのかは、知らない。
少なくも山形には「そば会文化」が連綿と根付いている。茶道がお茶を媒介としたコミュニケーションであるように、そば会はそばを媒介としたサロンである。

 わが山形三たてそば会が、例会通算三〇〇回を迎えた。
25年の歳月を要した記録である。第三〇〇回について相澤先達は「特別のことをするつもりはない」と控え目だった。
しかし節目であり慶事であることに変わりはない。しつらえられた舞台装置は①会場は県内そば組合の理事長、矢萩長兵衛さんの店「水車生そば」(天童市)とする②記念講演の講師に、天童市田麦野在住の鷹匠松原英俊さんを招く―の2点。先達は記念誌の発行、感謝状の贈呈、といったこの種の記念会にありがちな、儀式めいたものは省いた。

 その「こころ」は何だろう。
先達はこの節目を軽くとらえているわけではない。今回の案内状には「はるけくも積み上げてきたものと、しみじみ思います」とあった。この間欠席は2回だけ。以下は本気半分、冗談半分だが、先達の目標は「五二九回」なのである。なぜ五二九回かは、いささか説明が必要だ。

  かつて山形市には「山形そばを食う会」という、そば通の間では全国に名前が知られたそば会があった。
萬盛庵主人高井利雄さんの主宰で、私事になるが山形に転勤してきて初めて存在を知り、以後仙台に戻っても通い続けた。
毎月第2日曜日正午から。案内状は出すが事前の出欠も取らない、がルールだったと記憶する。
たまたま隣席になった人が、とんでもない有名人(東京在住)だった経験を何度かしている。

 三たてそば会は、高井さんのそば会を精神的源流としている。相澤先達も会員の一人だったが、高井さんはそば前の後にまず「種ものそば」を出すので「そばそのものにこだわるそば会があってもいいのでは」と始めた。
高井さんは、五〇〇回を超す記録を達成し会を終えている。

 

 三〇〇回例会の会場に話を戻そう。
松原鷹匠が、ワシミミズクを左手に乗せ登場する。「このミミズクが、最近ふと姿を消した。外に探しに出たら何か獲物を仕止めてじっとしている。何と自分より大きいハクビシン。今日死体を持ってきたが食事前だから披露はやめる」。のっけからドキモを抜かれる。

 大学に通っていた東京の下宿3畳間で蛇を飼っていた、交通事故で死んだ猫の肉を炒めて食べた、ハヤブサが仕止めたマグロを横取りした―などなど普通の人が体験できない話が次々披露される。

  三〇〇回を祝う乾杯の発声は、山形の逸見さん。
珍しくイス席で、参加者40人は2列のテーブルに座る。八割方が仙台勢か。

 身欠きニシン、そばがき、ソバサラダ、かき揚げなど用意された肴を頂きながら、そば前が進む。
先達が用意したお酒のほかに、差し入れが2本(1本1.8㍑)。40人ともなれば、お酒は奪い合いの様相。

 そば前が尽きたころ、店の五代目主人矢萩長兵衛さんが酒を1本持って登場する。
県麺類食生活衛生同業組合理事長、つまりは県内のそば屋さんのトップである矢萩さんは「北海道頼りだったそば粉生産も県内が増えてきた」と数字をあげてそば業界の現状を説明。「そば屋の共通の悩みは、後継者難です」と締めくくった。

 出された板そばは、更科、藪の2色盛り。
板そばが一巡すると「鳥中華を食べたい人は?」と店の方。
水車生そばなら、やはり名物は欠かせない、と先達が特例に認めた。ほとんどの人が手を挙げる。
その間、会場から声が出る。「沖縄・伊江島での公演の模様を聞きたい」と。相澤先達が製作・脚本・演出を担当した朗読劇「花ぬ美(ちゅ)らさ」公演のことだ。今日の参加者に、仙台からわざわざ駆け付けた浦井雄治さんがいた。

 「舞台と観客席の一体感に感動した。現在の辺野古基地埋め立て移転反対運動につながる内容です」と浦井さん。
その後は歌も飛び出す盛り上あがり。

 中身の濃い三〇〇回記念例会は「鳥中華の追加徴収は、店の配慮でなくなりました」という相澤先達の報告の後、山形市在住の田苗さんによる一本締めで締めた。

 

 山形三たてそば会は、山川兄弟の店(山形市内)で定点開催する形でしばらくは続いた。
三たてとは挽きたて、打ちたて、ゆでたてを指す。従って食べるのはせいろか板そばが原則。
参加16人定員で、はみ出しても4、5人、と決まっていた。

 兄弟の弟さんが別の店を出すと、2店を交互に使っていたが、その後会員から「県内の別のお店でも食べてみたい」との声が出て、山形市内に限らず月替わりの店で開かれる現在の形式になった。
6月、12月に使う竹ふくを除き店の定員がない場合が多くなったこともあり、会員の人脈で次第に仙台からの参加者が増えた。

 相澤先達は「何とか、高井さんへのご恩返しを含めて五二九回を目指したい。そのために私は一〇二歳まで元気でいなければならない」と宣言している。


 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2014年10月号 | 情報更新日:2016/04/05

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