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山形そばを食う会

第265回 山形市 手打そば羽前屋 の巻

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山形三たてそばを食う会
第265回 山形市 手打そば 羽前屋 の巻

 
老舗が醸し出す律儀な雰囲気で、久方ぶりの「模範的そば会」に
 
穴澤 鉄男(元河北新報山形総局長)
 
CIMG0455天ぷら
CIMG0455鶏皮ピリ辛煮
CIMG0455ナメコとオクラ
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人間の記憶なんて、当てにならない。山形在住当時、何回も足を運んだはずの山形を代表する老舗そば店「羽前屋」なのに、店の在り処が頭の中でぼんやりしている。ま、20年近くたつのだけれども。

「すずらん通りをずんずん北上する。すると右に見えるから」。相澤先達の電話での説明を頼りに、かつてのアーケード街を抜けてなおも歩くと、確かに道路右側に「手打ちそば 羽前屋」と記されたビルが見える。老舗店がビル? これも記憶と違う。

山形当時、県内のそば店めぐりをしていると話すと、特に仙台の知人・友人から「どこが一番おいしいか」とよく聞かれた。答えは決っている。「一口に山形そばと言っても、つるつる系からごりごり系までいろいろある(この表現は私独自のもの。文部省未公認)。あなたの好み次第で答えは変わる」。無論、そんな回答に納得する人はいない。だから、最終的な答えは、よくこうなった。「一番ニュートラルなのは羽前屋でしょうかね」と。奇をてらわず、もったいぶらず、地のままで80有余年営業している、というほどの意味である。

今回相澤先達はなぜこの店を選んだか、案内はがきには触れてない。老舗での例会という設定は、原点に立ち返った模範的そば会を狙ったに違いない。

参加21人。地元山形勢もいて、いつもよりやや多め。銘々皿には青菜漬けと打ち豆の煮物、中皿には青菜茎漬けとたくあん。待つ間に、ナメコ・オクラの入ったトロロ、鳥皮ピリ辛煮という小鉢二つが加わる。いずれも、量は控え目。「そば前」はそばの脇役、料理は「そば前」のさらに脇役だから、控え目が当然。

次に出された天ぷらの盛り合わせ、これは違った。エビ、白身魚、ゲソに野菜と7、8種が勢ぞろいした豪華版。おろし付き。店主の心意気を感じる。

舞台が整ったところで、相澤先達のあいさつである。「ご覧のように、今日は貸し切りでない。そこを留意してほしい。一般客の手前、最後に出る羽前もりはお代わりなし。互いに量を融通し合ってほしい」。相客を理由に高声はご法度のお達しだが、言外に「老舗にふらわしい振る舞いを」の意図が。

用意されたそば前は4升(1升は1・8㍑)。用意された杯は、昔風の平たく小さなお猪口。これも、上品にお酒をいただく、先達の演出か。一部の人は、我慢できずにグラスを所望したけれども。

1升瓶が横倒しになったのを見計らい、真打、羽前もりの登場だ。1・5人前というボリュームもさることながら、通常のつゆと、熱々のかしわ汁の2種が付いている。1枚で2度おいしい、ぜいたくな演出。量を持て余した女性陣から男性陣がそばを譲り受け、全員が適量で満足した。

結果、相澤先達が意図した「これぞそば会」、つまり「主役はそば」の趣旨が貫かれた。老舗の貫録、恐るべし。


そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2500円です。

カテゴリ:2013年4月号 | 情報更新日:2013/04/01

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