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山形そばを食う会

2017年1月号

第338回 山形市「焔蔵 山寺店 」 の巻

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山形三たてそばを食う会
第338回 山形市「焔蔵 山寺店 」 の巻

JR山寺駅から1分の申し分ない好立地
観光地でも素材は地元産を譲らぬ律儀さ
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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今回の「三たてそばを食う会」会場はJR仙山線山寺駅前、焔蔵山寺店。案内状にある駅から10秒では無理でも1分で着く。

 
 三たてそば会が山形市内特定店での開催から山形県内の名店を移動する方式に変わったのは15年ほど前だろうか、それとも20年ほど前に遡るのか。いずれにしても移動方式に変わってから、会場店への参集方法が悩みの種。
 山形市内であれば、タクシー相乗りでも何とかなる。遠隔地となるとそうはいかない。個人的ネットワークで相澤先達の友人にマイカーを出していただき凌いできたが、高齢化に伴いそれもままならなくなった。
 今回の会場選びは、その悩みへの回答である。山形方面からも仙台方面からも、ここなら文句の出ようはずがない。
 今回は電車の時間をにらみ、お昼時間帯での設定。36人で予約したのに37人の参加という。席の設定で手間取る。追っかけ予約なし1人が現れて、計38人プラス子ども1人。
 
 そば前の肴はお膳にセットされ運ばれる。天ぷら盛り合わせ、奴の出し掛け、身欠きニシン煮、それに山形名物芋煮。
 相澤先達が「今日は私の生家から甥っ子家族が参加しています」とあいさつし、乾杯の発声で始まる。仙台はどんより曇り空なのに、外は日が射している。お酒は米鶴酒造(高畠町)純米酒トリオ。いつものように各テーブルで話の花が咲く。そこへお店のオーナーから地酒の差し入れ。座がいっそう盛り上がる。
 肴のメイン天ぷらは塩で頂く。時期的に珍しい芋煮椀は、観光スポット山寺らしいメニュー。
 
 そろそろお酒が切れるかな、という頃合で板そばが登場する。つゆ、ネギに加え本ワサビが用意されている。「このワサビは5月例会でお邪魔した山辺町作谷沢産です。そば処弁天の主人吉田正春氏が冷涼な気候を生かして育てたもの」と相澤先達。店の壁に吉田氏の大きな写真が掲げてある。焔蔵は本物志向の店である。ソバ粉は大蔵村の最上早生、ネギは天童市のねぎ専業農家といずれも県内産にこだわる。
 細目の手打ち板そばをお代わり。日はまだ高いが、お開きの時刻だ。酔った足ながら定刻5分前で仙台行きの電車に間に合った。

 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2017年1月号 | 情報更新日:2019/08/05

第336回 山辺町「そば処弁天」の巻

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山形三たてそばを食う会
第336回 山辺町「そば処弁天」の巻

採れたての山菜を肴にぜいたくな一日
自分で採ったワラビを土産にごきげん
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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この春は寒暖の差が激しい、という。3、4月は行きつ戻りつの日が続いた。東北地方の桜開花も当初の予報から4、5日遅れた。

 
 昨年は季節の進み方が早く、5月のそば会は山菜採りと抱き合わせだったな、などと思い返していたら、相澤先達から「今年もワラビ採りとセットでそば会を開く」との案内である。しかも定例日の第3日曜日だという。昨年は早い季節の進み方と店の都合でウイークデーに開き、常連からさんざんブーイングが起きた。
 相澤先達の生まれ故郷・山辺町「そば処弁天」。山間部の集落にポツンとあるので、参加者泣かせである。しかも現地集合だ。
友人の車で途中道を尋ねながら定刻10分遅れでたどり着く。車で5分ほどのワラビ畑へ。昨年の枯草の間にぴょんと飛び出すワラビが正に採りごろ。30分ほどで各自満足できる収穫になった。
 
 この日は店の営業日。一般客と入れ込みである。車での参加者が多く、相澤先達が用意した酒は「純米米鶴」1升(1升は1・8㍑)。参加者からもう1本差し入れがあり、たっぷり感がある。
 
 テーブルにはワラビの1本ゆでが大皿に用意されている。続いてシドケとアイコのおひたしだ。乾杯の後、歓談が始まる。ご主人の吉田さんから山菜について話題提供がある。「東電福島第1原発事故による放射能汚染で、行政からさまざまな注意喚起がある」。福島からこんな遠隔地でも事故と無縁でないのだ。「ワラビのあく抜きに使う灰にまで指導が出ている」。8年も経っているのに、と驚く。「コシアブラは基準値以下ではあるが、セシウムが検出さされ出荷できない」コシアブラは場所を問わずなぜか放射性物質を吸着しやすい。
 吉田正春さんが参加者に尋ねる。「自分の年齢を考えて、それでもコシアブラを食べたいなら、出します」。参加者は「食べたい!」。大皿にお浸しが出された。
 アイコ、ワラビの煮物、ワラビ汁(身欠きニシン入り)、天ぷら(コゴミなど)なども出て、酒が進む。外は見渡す限りの新緑。山菜を味わうには格好のロケーションだ。
 
 締めはざるである。粉は地元産。これも地元産のワサビが添えられている。天気よし、味よし。「来年もここで会いましょう」。相澤先達の締めのあいさつで、季節感たっぷりのそば会は大団円となった。

 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2017年1月号 | 情報更新日:2019/05/31

第335回 山形市「きふね」の巻

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山形三たてそばを食う会
第335回 山形市「きふね」の巻

桜の季節には「さくら切り」が似合う
ハプニングとおめでたのそば会でした
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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当初の予想よりやや遅れ、山形市霞城公園の桜も満開。この季節のそばはやはり「さくら切り」でなければならない。今回、相澤先達が選んだ会場は、山形市天神町の「きふね」である。天童との町境近く、山形三たてそば会の会員にはおなじみの店だ

 
 定例のそば会だが2、3月と変則が続いた。2月は直前に事情が発生し、同じ村山市内ながら別会場に変更になった。3月は山形市内の老舗店が閉店することになり、会員各自がそれぞれ店に行く「さみだれ例会」になった。この日は久々の通常例会である。
 ところが…。この日もハプニングがあった。仙台グループのうち、電車で向かっていた3人が、来られなくなったという。車両トラブルが発生、仙山線が不通になった。世の中何があるか分からない。
 
 席に就くと、そば前の肴が用意されている。メーンの皿には出汁巻き卵、ウドの味噌和え、白菜の漬物の3点。次の小鉢は竹の子としらたきの煮物、そしてもう一つの小鉢は行者ニンニクの納豆和え。
 相澤先達があいさつに立つ。「仙台からのお3方が残念ながら引き返した。そして…」。もう一つの話題はおめでたいニュースだ。相澤先達執筆の戯曲「伊江島-辺野古をおもう-」が総合演劇誌テアトロ5月号に掲載された、という。「わたしの本業です。アイザワが何者かは、これを読んでもらえば分かります」。
 定価1,300円のところ、特別価格1,000円。次々手が挙がり、用意した15冊はたちまち完売。
 初参加者の紹介があり、「乾杯」。この日のお酒は、米鶴酒造(高畠町)の特別純米吟醸「亀粋」などである。現地集合のお達しのせいか、飲めない参加者も多く、一升瓶(一升は1・8㍑)がテーブル間をあまり移動しない。
 
 差しつ差されつするうち、天ぷらが出てくる。フキ、ヨモギなど季節の山菜に加え、アマドコロもある。突き出しの行者ニンニクといい、主人の伊藤隆二さん(48)の心意気が感じられる。塩でいただく。
 お待ちかねのそばは、さくら切りと普通の2色盛りで登場。さくら切りはほんのり桜の香りがする。ボリュームも十分である。

 

 最後に伊藤さんご夫婦があいさつに立つ。暮色の中を友人の車に揺られながら、満ち足りた気持ちで家路に就いた。

 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2017年1月号 | 情報更新日:2019/04/26

第334回 山形市「羽前屋」 の巻

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山形三たてそばを食う会
第334回 山形市「羽前屋」 の巻

1世紀続いた老舗のそば店よさようなら
羽前屋らしいメニューでお別れしました
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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山形を代表する老舗そば店の灯がまた一つ消えた。羽前屋(山形市旅篭町)である。

 
 相澤嘉久治先達からの3月そば会案内状は、苦渋に満ちたものだった。「羽前屋さんが今月(3月)いっぱいで閉店することになった。本来ならば羽前屋さんでそば会としたいところですが…」とした上で「お手伝いするご家族の事情もあっての閉店で、30人規模のそば会をお願いする状況ではありません。変則ですが会員の皆さんはグループごとに、あるいは個人でそれぞれが今月中に羽前屋さんに行って最後の羽前そばを賞味してください。それをもって今月のそば会と致します」。つまり、さみだれ参加である。
 例会恒例日の第3日曜日、そば会の相澤代表、浦井雄治副代表(仙台市)と連れだって、店を訪れた。閉店のうわさを聞きつけたのだろう、20人ほどが外に並んでいる。外で待つこと40分。さらに中で順番待ちし、テーブルに座るまで計1時間。いくら老舗店とはいえ、普段はないことである。
 
 最後だから羽前屋らしいものを頼まねばなるまい。浦井さんと2人、まずは羽前もりである。プラス天ぷら盛り合わせ。2人で1皿を頼む。相澤先達は「羽前もりは食べきれないな」と天付羽前にする。
 この店らしいメニューの代表が羽前もり。1.5人前のボリューム。天ぷらの盛り合わせもこの店らしい。白身魚、エノキ、竹輪、ノリなどにたっぷりのおろしが添えられている。羽前もりも、天ぷらも自ら「大衆的」を掲げる姿勢にたがわず、ボリュームや品数の割にはお値段はリーズナブルなのだ。
 
 「本当に手打ちを貫く店は減っている」。山形のそば業界に詳しい相澤先達は話す。基本に忠実、シンプルな姿勢。それがファンに通じているからこそ、閉店を惜しむ客の列ができる。相澤先達の元には「最後の羽前屋を堪能して来ました」というメールが会員から何通も届いた。「さみだれ参加」と言うときれいごとの呼び掛けに聞こえるが、会員は相澤先達の気持ちに応えてくれている。羽前屋の何たるかをそば会の会員は知っているのだ。
 
 最後と思うと、仙台から参加した筆者も感情がこみ上げる。そば湯を、つゆが無くなるまでゆっくり味わった。
 さようなら庶民の店。さようなら羽前屋。その心意気は永遠に。

 


 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2017年1月号 | 情報更新日:2019/04/02

第333回 村山市「手打蕎麦 おんどり 」 の巻

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山形三たてそばを食う会
第333回 村山市「手打蕎麦 おんどり 」 の巻

最上川三難所そば街道にふさわしい季節に
村山市最奥らしい雰囲気を堪能したそば会
 
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
 
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 立春を迎えるとは言え、寒さが一番厳しい冬は2月かもしれない。「仙台のマンションですか、うらやましいなあ」。そう話す山形市在住の方の車に同乗させていただき、村山市の北西最奥に向かう。積雪のない仙台から、雪の切り通しの中を進む山形へ。まるで別世界、途中から雪が降り出した。

 
 今回の会場は、最奥に位置する「手打蕎麦おんどり」である。相澤先達は、寒さが一番厳しいこの時期、なぜ村山市の最奥を会場に選んだのか。カギは素晴らしい山形1月号の特集「朋ちゃんの最上川三難所そば街道巡り」にある。朋ちゃんが村山市中心部2店を含め14回にわたって連載した。完結総集編が新年特別号として掲載されたことの「お祝い」そば会だ。「おんどり」はそば街道の二番店である。
 テーブルに座ると、始まる前に小鉢が次々並べられる。黒豆、コゴミのゴマ和え、フキ、キクラゲ、風呂吹き大根…。ワラビの1本漬けと2色たくあんはテーブルごとだ。山菜で春の先取り。最奥の地でのそば会にふさわしい肴と雰囲気である。
 石巻市から参加の方の発声で「乾杯!」。外はいつしか本格的な雪になっている。相澤先達が、前回に続き「三たてそば会」の歴史と今後について解説する。「山形には全国に知られた萬盛庵の「山形そばを食う会」があった。先輩格の萬盛庵のそば会を超えないぎりぎりの回数まで続けたい。そのために私は102歳まで元気でいなければなりません」。いつものフレーズである。30人の激励と冷やかしの声が交錯する。
 
 先達が用意した酒は、米鶴酒造(高畠町)の「純米かすみ酒」など1升瓶3本(1升は1.8㍑)。「コゴミはどうやって保存したのかね」「このワラビは唐辛子が効いている」など、そば会らしい肴を愛でながら、会話が進む。「飲まない方もいるので、1人2合ほどは行き渡るはず」と相澤先達。
 
 そうこうするうちに、板そばの登場である。太打ちと細打ちの2色盛り。太打ちは歯ごたえがある田舎風だ。メニューには「ソバはすべて自家栽培」とある。霊峰葉山の登山口山ノ内地区で栽培したソバ粉だけを使っている。「おんどり」は登山口にふさわしく温泉があることでも知られる。ユニークだ。
 主人の佐藤和幸さん(57)が相澤先達の紹介であいさつに立つ。三難所そば街道振興会会長としてまとめ役を務める。雪も激しくなることだし、暗くなっては大変。一本締めでお開きとなった。

 


 

そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。

カテゴリ:2017年1月号 | 情報更新日:2019/03/04

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