

山形三たてそばを食う会
第323回 山形市「きふね」 の巻
桜満開の季節にふさわしい「さくら切り」
季節感ある肴で盛り上がったそば会でした
穴 澤 鉄 男(元河北新報山形総局長)
「きふね」(山形市天神町)は三たてそば会の会場に何回かなっているが、市中心部からかなり北に離れ、天童市との町境に近い。相澤先達からは今回も「現地集合」のお達しである。仙台から友人の車に乗せてもらい、直接向かった。途中通った馬見ヶ崎川の堤防は、満開の桜のトンネルだった。
着くと店が新しくなっている。店が新しくなっているのは、客の支持が厚いことの証しだ。電車で行けば一番近いJR駅から2㌔以上あり、タクシーでないと無理である。
客席の都合で20人限定の募集(ギリギリに絞って22人)。そんな厳しい条件ながら、相澤先達がこの店にこだわったのは、季節にふさわしい「さくら切り」がこの店の看板だからだ。主人が修業した「竹ふく」仕込みである。
そば前の肴としてまず突き出しが用意される。サワラ焼きのミョウガ刻み添え、出汁巻き卵、ウコギのゴマ和え、ワラビと根曲りダケの煮物の季節感ある一皿。
今日先達が用意したお酒は、前回に続き米鶴酒造(高畠町)のかすみ酒、生?純米酒の各1本(1本1.8㍑)飲まない人もおり原則通り16人に2本。
次はホルモン煮込み。続いて天ぷら盛り合わせで、フキノトウ、タケノコ、パプリカの顔ぶれ。ほかにテーブルごとにキャベツ&キュウリもみが。
そば会の原点に戻ったような酒と肴で会話も弾む。会員の中で最近病気から復帰した人からの報告なども交え、酒が進むうちお待ちかねのさくら切りが、普通のせいろとの2色盛りで登場。さくら切りはほんのりピンクで、かすかに桜の香りがする。量もたっぷりで、一同大満足である。竹ふく流の細打ちだ。最後に桜の花を浮かべたデザートで締めくくった。
飲食店は地の利が8割、というのが常識だろうが市街地から離れた立地でも味に自信があれば十分に戦える。そんな実例を見た思いがした今回のそば会だった。
そば会にはどなたでも参加できます。希望者はFAX 023(634)6487へ住所・氏名・電話番号を記して申し込んでください。毎月、案内を差し上げます。会費は、酒代込みで2700円です。